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「言うじゃねーかヒバリ」
先ほどのヒバリの発言はとある人物の戦闘意欲に火をつけることになってしまった。それはいつの間にか部屋にやって来ていた二人の内一人で今年最上学年になったリオルだ。
彼の隣にはもはやセットと言ってもいいミレンが立っており、その彼女と一緒に部屋の奥まで歩いてきて適当に空いている一人用の椅子にそれぞれ自分のタイミングで座る。
「リオル先輩、ヒバリ君のことを知っているのですか?」
「あぁ。そいつクリスタルナイツの大将の一人メビルの孫だからな」
「えぇ! そうなんですか!」
「ちなみに隣にいるのがサッチの娘だ」
「本当ですか!」
「……テメーはさっきから騒ぎすぎだ」
相変わらず騒がしい野郎だ。そう思いリオルは呆れ返る。
「ところでよ」
だがそれもわずかな間、すぐに身を乗り出して自分に啖呵を切ったヒバリを睨み付ける。
「さっきの話、フィックスが俺より強いって言うのは本当か?」
「あっ、えっと、それは――」
「本当だ!」
殺される。そう思ったフィックスは出来るだけ刺激しない言葉で否定しようとする。だがその言葉を考えている間にヒバリによって肯定されてしまった。
「俺はリオルよりフィックスさんの方が強いと思っている! そうですよねフィックスさん!」
満足げに言い終わった後、ヒバリはとてもキラキラと輝いている目でフィックスのことを見ていた。
彼はよかれと思ってやったことだがフィックスにとってはありがた迷惑。今の言葉は死の宣告に等しい。フィックスはこの後リオルに殺されると思い恐怖に体を支配されて全く動けなかった。
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