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ギ「蘭は呆然としながらもさっきまで
はきはきとしていた彼女に近づくわ。
せめて、彼女の目を閉じさせてあげようと思ったのね。」
メ「えぇ、私もさっき彼女と話しましたわ。明るく、社交的な方だとお見受けしましたのに。
なぜ・・・彼女は・・・。」
ギ「・・・メアリーはそう言うと、すっと目を逸らしてしまうわ。
人の死というものを直で見るのは少し辛いようね。」
メ「・・・アーヤ。蘭さんのために少しコートをめくって差し上げて。」
アーヤ「かしこまりました。」
ギ「蘭とアーヤは先輩に近づくわ。
蘭は彼女のまぶたを閉じるため。アーヤは、コートをめくるために。
ただ、アーヤは動揺している蘭の付き添いも兼ねているわ。
むしろそっちが本命ね。
メアリーが言葉にしなくても、それを望んでいるのを読んだようね。
蘭は先輩の顔を見ると、奇妙な点を見つけるわ。
彼女の肌が高齢の女性のような状態になっていたの。
皺、しみ。
さっきまでの彼女には無かったものね。
目の前で亡くなっていなければ彼女を彼女と判断するのには、親しい間柄かDNAを調べない
と判断がつかないはずね。
そしてアーヤは彼女が持っていた乳液が落ちているのに気付くわ。」
アーヤ「これは彼女の。拾ってお・・・
いえ、事件の関与があるかもしれないですからね。そのままにしておきましょう。
もしかしたら、劇薬でも入っていたかも知れません。」
ギ「(・・・っち。指紋でも残してくれればよかったのに。)
・・・触らないのね?それじゃあ転がっている状態で分かること。
その乳液は、半分以上使われていること。そして一般の既製品でない、あまり見たことのないタイプね。
ドラッグストアでは売っていないかもしれないわ。」
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