【美】への執着

29/43

79人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
ギ「蘭は呆然としながらもさっきまで はきはきとしていた彼女に近づくわ。 せめて、彼女の目を閉じさせてあげようと思ったのね。」 メ「えぇ、私もさっき彼女と話しましたわ。明るく、社交的な方だとお見受けしましたのに。 なぜ・・・彼女は・・・。」 ギ「・・・メアリーはそう言うと、すっと目を逸らしてしまうわ。 人の死というものを直で見るのは少し辛いようね。」 メ「・・・アーヤ。蘭さんのために少しコートをめくって差し上げて。」 アーヤ「かしこまりました。」 ギ「蘭とアーヤは先輩に近づくわ。 蘭は彼女のまぶたを閉じるため。アーヤは、コートをめくるために。 ただ、アーヤは動揺している蘭の付き添いも兼ねているわ。 むしろそっちが本命ね。 メアリーが言葉にしなくても、それを望んでいるのを読んだようね。 蘭は先輩の顔を見ると、奇妙な点を見つけるわ。 彼女の肌が高齢の女性のような状態になっていたの。 皺、しみ。 さっきまでの彼女には無かったものね。 目の前で亡くなっていなければ彼女を彼女と判断するのには、親しい間柄かDNAを調べない と判断がつかないはずね。 そしてアーヤは彼女が持っていた乳液が落ちているのに気付くわ。」 アーヤ「これは彼女の。拾ってお・・・ いえ、事件の関与があるかもしれないですからね。そのままにしておきましょう。 もしかしたら、劇薬でも入っていたかも知れません。」 ギ「(・・・っち。指紋でも残してくれればよかったのに。) ・・・触らないのね?それじゃあ転がっている状態で分かること。 その乳液は、半分以上使われていること。そして一般の既製品でない、あまり見たことのないタイプね。 ドラッグストアでは売っていないかもしれないわ。」
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

79人が本棚に入れています
本棚に追加