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「外に出ても危険そうね。しばらくはここでじっとしているわ」
「そうだな。この場所からだと、エアカーに乗ったとしても別区域まで避難するのは物理的に不可能だろうし」
膝を抱えて三角に座り、ニュースを見ながら寄り添う二人。
調空機の電源が自動停止する音。
空気の供給が遮断されたのだ。
「ねえソラ、こんな機会じゃないと長い時間一緒にいられなかったよね」
「そうだな、マドカ」
途切れ途切れの会話。
調空機が静かになったせいか、小さめに設定していたテレビの音量がいつもより大きく聞こえた。
「空気配合は俺仕様だから、マドカは息苦しいんじゃないか?」
「だ、大丈夫よソラ」
「ごめんな、俺の肺がこんなだから迷惑をかけてしまう」
「いいのよ。それより自分の肺の心配をしたら?」
「う、もうそろそろ限界かも……」
ソラはマドカの肩に体を預けた。
それを優しく包むマドカ。
空気の淀んだ部屋の中で、二人の時間は澄んだ風のように流れていった。
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