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オロカモノは夢をみていた
世界に“何か”を残せるだろう
けれどもそれは儚い夢で
オロカモノは地から芽吹くまでの時間を
費やした
オロカモノは夢をみていた
人々に“何か”を残せるだろう
それは儚い夢で
オロカモノは茎が伸びるまでの時間を
費やした
オロカモノは夢をみていた
周りの人々を“幸せ”にできるだろう
それも儚い夢で
花の咲くまでを費やした
そうして咲いた小さな花は
僅かな盛りに
散り始め
虚しさや儚さや嘆きに包まれる
最期の花ビラが地面に落ちた時
初めてオロカモノは
地から吸い上げた自分を生かした物や
天から注いだ自分を生かした物に
気が付いた…
そうしてオロカモノは
漸く己の傲慢から解き放たれる
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