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……どうする?
ここは思いっきって振り返って用件を訊くか?
いやいや、そんな面倒臭い事を一々するのは勘弁だ。しかしこのままでは……
商店街を抜け、駅前の広場に出た。まずい。このままでは我が家に着いてしまう。
仮に彼女がストーカーだとしたのなら、ここで自宅がバレるのは如何なものか……郵便ポストに嫌がらせなんて考えたくもない。
「……仕方ない」
彼女に話に行くと思ったか?残念。ファーストフード店に逃げ込んだんだよ!
ワンコインの注文を済ませ、席につき一息置く。ここで多少なりとも時間を稼げば、流石にあの子も諦めるはずだ。
「取りあえず、散歩のルートは変えないとなぁ…………」
気付けばそれなりに時間が経っていた。脳内で散歩のルートを考えるのはこれがどうして、なかなか面白い。
そのまま外に出ても良かったが、念のために確認しよう。そう思い二階に上がり、店の入り口付近を見てみる。
「……嘘、だろっ!?」
いた。
彼女は店の入り口が見える場所で座りずっと待っていた。冬の寒さに身を強張らせながら。
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