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「かんぱーいっ!!」
メゾン音成の103号室。
ここでは103号室に入居した俺、篠塚 哉汰(シノヅカ カナタ)と、102号室に入居した新見 愛恵(ニイミ マナエ)の入居歓迎会が行われていた。
こたつの中心にセットされたカセットコンロの上では、鶏鍋が良い具合だ。
「いっちばーん!!」
元気な声とともに鍋に箸を突っ込んだ201号室の住人、ポニテ眼鏡の柊 優子(ヒイラギ ユウコ)。
「肉ばっか食うなよ?」
優子は、もも肉のスライスや、むね肉で作った鶏団子ばから拾いだしている。
「そうよゆーちゃん……お肉ばかり食べちゃ駄目……。私が食べる分が無くなっちゃう……」
と言うセミロングパーマの彼女、203号室の小長井 悠里(コナガイ ユリ)も、他の食材には目もくれず肉ばかり取って食べている。
「いや、お前も野菜食えよ!!」
「野菜、嫌い……」
「我が侭は許さん!!」
俺は玉杓子で野菜をすくって、優子と悠里の取り皿によそった。
「えー!? お野菜要らないよ!! もっとお肉食べたいです!!」
優子が文句を垂れるが、
「文句があるなら食わんでよろしい!!」
俺は一喝した。
「なんか、哉汰君てお母さんみたいだね」
そう言ったのは愛恵だ。
「誰がお母さんだ」
「お母さん……お肉食べたい……」
「だから誰がお母さんだ!!」
こんな感じで和気藹々(?)と鍋を囲んでいたのも束の間、事態は急速に混沌へと誘われた。
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