内田樹の「街場の文体論」を読んで

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 内田樹の「街場の文体論」を読んで、著者に感想文を送った。それをそのまま書評としたい。通常、書評は前書き的なものが多いが、私は後書きとして書いたつもりだ。読むことを前提としているのは、それだけ充実した良書だと思っているからだ。文章をうまく書こうと思っている人間は、一読すべきだと思う。  手紙は、以下のように始めた。ただ、手紙を読み返すと誤字脱字が多く読むに耐えなかったので、少し手を加えた。今から思えば、失礼なメールを出版社へ送ったものだと反省している。粗忽な人間だといわれてもいたしかたない。  定年まで残り4年しかなく、アメリカ大統領よりも短い任期しかない。私は定年になるということが全然信じられません。 残り少ない会社人生は、暇になってきました。新しい仕事を始める訳にもいかず、残務整理をしているような状況です。そんな状況で定年後に向けて、この4年間は、自分の大学に進学すると決めました。勤務しながらの大学生活です。学生は私一人だけで、教授や職員は一人もいない大学です。教授を見つけることから始め、カリキュラムを作り始めました。名付けるなら、「定年対策大学」です。専攻学部は作家デビューするつもりですから、文学部としました。 定年対策大学の最初のテキストに選んだのが、あなたの「街場の文体論」でした。つまり、あなたを最初の教授として招聘したのです。 個人的には、本書とは運命的な出会いだったと思っています。近くの書店で昼休みに立ち読みしていたら、半分読んだ所で本が返品されてなくなってしまったのです。全部読み終わっていても、読み始めていなくても買うことはなかった。「読みたかったら、買って読め」とあなたに叱られた感じでした。そう迫られ、買うと決めました。
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