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「──じゃあ、これと、これとこれとこれね~。参考書みたら解けるから、問題全部埋めてね~。埋めなかったらまた追加するからね?」
ドサッと、大量の参考書と大量のプリントを私の手のなかに納める恵先生。
その顔は亀をいじめる子供のよう。
浦島太郎~助けてよ~。
「なぁに変な顔してるの~?」
あんたのせいだ!!
……なんて、教師に言えるはずが無くて。
「そんな顔してましたか?」
と、流しておく。
そしてここは職員室の入り口。
図書室から出た私と恵先生は他愛のない話をしながら1階の職員室まで来た。
職員室の中は、まだまだ沢山の教員の人達が居残って忙しそうに仕事をしていた。
そして恵先生は「プリントを取りにいくから待ってて」と言われまだ少し肌寒い廊下で5分待たされ、職員室から出てきたところで今に至る。
「桜木さんのせいで仕事溜まっちゃったじゃん」
恵先生は面倒臭そうにドアに寄りかかって腕組みをして嫌味を言う。
これには私は何も言えなくて謝罪を繰り返すばかり。
……教師は大変だよね。生徒が帰った後も働かなきゃいけないから。
その分お金もらってるんだから仕方ないと思うけどね。
同情の目を恵先生に向けながら貰った大量の参考書とプリントをスクールバッグにしまう。
うっ……重い。
参考書の威力は凄いな。
辞書並みだ。
私が片付け終わった様子を見た恵先生は、手を上にぐっと上げて欠伸をしたあと、私に話しかけた。
「じゃあ桜木さん、今日はもう遅いし、お開きにしよっか?」
「は、はいっ!!」
やっと解放される~……と思ったが。
……背後からなんか変な妖気が……。
「おい。お節介女子高生」
ゆっくりと後ろを振り返るとどす黒いオーラを身に纏った数学教師、和真先生がそこにいた。
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