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「……ごめんね。もう行かなきゃ」
「はぁっ……?何言ってんだよ。まだ会ったばっかじゃないか」
「あんたとまた会えただけでも充分すごいことなんだから、欲張り言わないの」
困ったように笑いながら、゙あいづは名残惜しそうに俺に背を向け歩きだした。
じわじわと開いていく距離に心は焦らされ、寂しそうな゙あいづの後ろ姿を見ているのが辛くて……俺はたまらず走りだす。
「待てよっ……うわっ!」
しかしこんな寒い中じっとしていたせいか、゙あいづまでもう少しというところで脚がもつれて転んでしまった。
膝をアスファルトに打ち付けてしまい、鋭い痛みに顔をしかめる。
「ぷっ。何してんのよ、バカじゃないの」
すぐ近くから声が聞こえてくる。
顔を上げれば゙あいづは目の前で膝を抱え込み、口元を手で押さえて笑うのを堪えながら座り込んでいた。
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