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「う、うるせぇよ。ったく……」
「動かないで」
地面に手をついて起き上がろうとしたが、頭に手を乗せられ下を向かされてしまう。
動かないで。といゔあいづの言葉には、何故かそうさせる力が籠もっていた。
そして──。
「大好きだよ」
頭に乗せられていた手の感触が消える。
一抹の不安が脳裏を過った。
ゆっくりと自由になった顔を上げれば、そこには何も……誰もいなかった。
゙あいづは──逝ってしまったんだ。
言葉に出来ない孤独感が、喪失感が、心にポッカリと開いた風穴に入り込んでくる。
やっぱり……さっきまでの出来事は幻だったのかもしれない。
けど……それでも、゙あいづが残していった言葉は、想いは、偽りではないと信じたい。
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