夜紅葉

2/2
前へ
/48ページ
次へ
君と2人歩くこの帰り道 薄暗い夜道を駆け抜けて行く 時が止まった様な場所に1人 美しく儚く笑う少女が居たよ 舞い踊る様に紅葉が落ちて 少女の笑顔此処に残して 春も夏も秋も冬も 独りここに居たよ 赤く紅く舞い踊る紅葉 君の泣き顔を映し出すよ 2人を守り続けたものは 空に帰って行くよ 秋の風薫る紅葉吹雪 君の横顔を紅く染める 追い掛けた君の幻さえ もう僕には見えない さよならを隠したこの帰り道 想い出も何もかも捨てようとした 情けない位に君が僕の中に まだ元気に走り廻っているんだよ 重い病と知っていながら 君を連れ出し此処に来たよ 春も夏も秋も冬も 君と過ごしたくて 青く蒼く舞い踊る闇夜 君と僕を飲み込んでいくよ 抱き締めた君の暖かさは 今はもう届かない 冬の風薫る紅葉吹雪 君の横顔を蒼く染める 追い掛けた君の幻さえ もう僕には見えない 弱くなってく君の鼓動が この世界から色を奪うよ 君の雫が頬を伝う おやすみなさい 君と見てきた春夏秋冬 今は独りで生きているよ 時が止まった場所にはもう 君はもう居ないよ 紅く蒼く舞う紅葉吹雪 少女は静かに泣いていたよ 「君」という場所に少女はもう 帰ることはないんだ 君が詠う「さよなら」
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

408人が本棚に入れています
本棚に追加