白夜のおり

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「ん?」  なぜ、見つけたのか。  なぜ、足をとめたのか。  俺は駅前の奇妙なオブジェの前に座り込む女性を見つけた。髪もコートも真っ黒で、そのまま冷たい夜に溶けてしまいそうなくらい小さな背格好。  無視しても良かったのだが、その場でうずくまる彼女が気になって――もしかしたら具合が悪くて丸まってるんじゃないかと思って――気付けば駆け寄っていた。 「ちょっと、大丈夫ですか?」 「……え……」  顔をあげた女性は、驚いたような表情をしていた。肌は白いが、蒼白ではない。  なんだ、俺の思い違いか……恥ずかしいことをしちまったな、と思った。ばつが悪くて次の言葉を躊躇う。 「あ、その、すみません。丸くなってるから、具合でも悪いのかと……」  しどろもどろになりながら言い訳をする俺は、クリスマスには不似合いなくたびれた男だな、とどこかで思ったりした。
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