白夜のおり

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「……もしかして、励ましてくれてるんですか?」  疑問系ってことは確信が持てないってことだよな? やっぱり俺のボキャブラリーでは限界だったようだ。俺は肩をがっくりと落として答える。 「……一応、そのつもりでした」 「そ、うでしたか。ありがとう、ございます」  気まずい。すごく気を遣わせている、気がする。申し訳ない名も知らぬ彼女よ。 「でも……嬉しかったです。その、私もどう言ったらいいのか、口下手で申し訳ないんですけど」  両手が白くなるまで握りしめる彼女。小さな身体で小さな勇気を振り絞るような姿に見えた。 「見ず知らずの貴方に、そう言ってもらえて、頑張らなきゃ、って思いました。私、その、辛いけど……後ろはあんまり振り返らないように、したいなって」
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