初雪のクリスマスパレード

6/21
前へ
/23ページ
次へ
「ねー先生。聞いてる?」 「おー…」 放課後、エリはやっぱりやって来た。 「絶対聞いてないじゃん」 聞いてるか、だって? 聞けないんだよ、このニブチン! 今にも押し倒しそうなこの気持ちを悟ってくれ! お前が側にいるってだけで欲が湧く。 エリの存在自体に煽られる。 「で、何だって?」 「……明後日、クリスマスパレード見に行きたいなって」 「パレード?」 「うん!うちの近所の遊園地のやつ!小規模なんだけど、すごく綺麗で。ずっと見に行きたかったんだぁ」 「? 近所なら行けば良かったろ?」 「…………」 「エリ?」 「……昔、母さんに“大切な人が出来たら一緒に行くのよ”って言われた、から…」 あ゛ー… もう、こいつは… 「……先生?」 お前のおかげで飛び出た両手が宙ぶらりんだよ、くそう。 本当はきついぐらいに抱き締めて、沢山キスしたい。 でも…… 「先生…?ちゅーしないの?」 「しない。帰れ」 「……だよね。先生からちゅーしてくれたことないもんね」 「え?」 「俺帰るね」 「エリ?」 「先生!相川先生がっ」 俯いたまま小走りで出ていったエリの声は震えていて。 咄嗟に引き留めようと立ち上がると、エリと入れ替わりに顔を青くした生徒が飛び込んできた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加