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「ねー先生。聞いてる?」
「おー…」
放課後、エリはやっぱりやって来た。
「絶対聞いてないじゃん」
聞いてるか、だって?
聞けないんだよ、このニブチン!
今にも押し倒しそうなこの気持ちを悟ってくれ!
お前が側にいるってだけで欲が湧く。
エリの存在自体に煽られる。
「で、何だって?」
「……明後日、クリスマスパレード見に行きたいなって」
「パレード?」
「うん!うちの近所の遊園地のやつ!小規模なんだけど、すごく綺麗で。ずっと見に行きたかったんだぁ」
「? 近所なら行けば良かったろ?」
「…………」
「エリ?」
「……昔、母さんに“大切な人が出来たら一緒に行くのよ”って言われた、から…」
あ゛ー…
もう、こいつは…
「……先生?」
お前のおかげで飛び出た両手が宙ぶらりんだよ、くそう。
本当はきついぐらいに抱き締めて、沢山キスしたい。
でも……
「先生…?ちゅーしないの?」
「しない。帰れ」
「……だよね。先生からちゅーしてくれたことないもんね」
「え?」
「俺帰るね」
「エリ?」
「先生!相川先生がっ」
俯いたまま小走りで出ていったエリの声は震えていて。
咄嗟に引き留めようと立ち上がると、エリと入れ替わりに顔を青くした生徒が飛び込んできた。
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