一匹の存在

11/14
前へ
/14ページ
次へ
暫くして、日が落ち、家主である史彦が帰宅し居間で一家が夕食を楽しんでいる頃、 私は子ども達によって別の少し小さい飼育ケースに入れられると、居間に運ばれた。 私が玄関以外の場所に移される事は何度かあった。 そういう時は決まってお祭りやお祝いで、前回ここに来た時は確かハロウィンだった。 子ども達に目を向けると、二人はプレゼントやサンタクロースについて話しており、今回はクリスマスの為ここに呼ばれたことを理解した。 クリスマスについては、以前、香織から聞いたことがある。 なぜか去年のクリスマスは記憶が曖昧でよく覚えていないが、香織の話しによると、 赤い服を着た白髭の老人が、年に一回この日だけ子ども達にプレゼントを配るらしい。 初めて聞いた時は何故そのような事をするのか意図が掴めなかったが、 私は目の前で話している康輝と爽華に目を向けると、ある考えが浮かんだ。 二人は眩しいほどの笑顔を浮かべており、サンタクロースはその笑顔が見たいが為にプレゼントを配っているのではないかと…
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加