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◆◇繰返◇◆
ジリリリリ---!!
けたたましく防犯ベルが鳴り響く。
「クソっ!!早く詰めろ!!」
苛立ちは隠さず、顔はマスクと黒い帽子と黒いサングラスで隠した男が目の前の女性に拳銃を突きつけた。
女性は恐怖で顔を引きつらせながらも震える手で懸命に大きく黒い鞄に札束を詰め込んでゆく。
パトカーのサイレンが男の耳に届いた頃。男は鞄を引ったくるように脇に抱えて建物を飛び出した。
意外に簡単に逃げ出せたかって?それもそうだ。
建物に入って金を要求した際に、勇敢にも飛びかかって来た従業員に発砲してやったからだ。
銃弾は従業員の太ももを掠めたようで、わざとらしい大袈裟な悲鳴が上がる。そのおかげで誰も俺に近付けなかった。
撃たれたら痛いだろ?誰だって自分が一番可愛いんだから敢えて危険なマネはしない。
そう。俺は銀行強盗。
密かに入手した拳銃を盾に、俺はやってのけたのだ。
この金を持って逃げだせば、人生はバラ色。
海外でノンビリと暮らすのもいいな。
逃げるが勝ち。
正にその通りだ。
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