1章

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追々説明すると言った約束もこれで果たされた、ということにしといてくれ。 ピエロのオッサンが空へ消えて帰っていった次の日、小屋で寝て過ごした俺は、小屋周辺の散策及び、食料探しのために外にくりだした。 小屋の外は見知らぬ森だった。 魔具でピエロのオッサンに何かしら聞きたいことがあったが、何度使っても応答は無く、結局ピエロのオッサンが何者なのかもわからなかった。 周辺散策でわかったことは3つ。 小屋の場所はどこぞの森の一角。少し歩いた場所に川があり、水には困らない。徒歩一時間程の距離に町がある。 以上である。 なんとも心許ない探索結果だ。 町を発見できたのは川沿いに下ると煙が上がっていたので、もしやと思えばビンゴ。 水あるところに都有りってね。 おばあちゃんの豆知識に万歳。 この国の町や都は高い塀に囲まれていて、入り口には大きな門がある。 何でも魔物や盗賊の強襲を防ぐためらしいのだが、詳しいことは知らん。 この門、中からは自由に開けられるが、外からは町に入るための通行証を持って門に触れる必要がある。 通行証は指輪型とイヤリング型があり、このどちらかを持っていれば、この国のどこの町でも自由に入れる便利なもの。 ただ作るのに町に入ってから役所で血を抜いたり、魔力抜いたりと色々面倒なことをしないといけない。(俺の時は、変装しておばあちゃんに町へ入れてもらって指輪型を作った) 今の俺には通行証はあるが顔を隠すための物がないため、町に入ることは出来なかった。 前の家に桂もサングラスも置いてきちゃったから、今の俺の顔は全面解放されている。 そんなわけで うん、入れん。帰ろ。 早々諦め、小屋に帰ろうと踵を返したところで、後ろから足音が聴こえた。 振り向けば、つい先日見た金髪の― 「あれ?君はヴィーノ家の罪人の、って待って!」 「無理」 優秀な追っ手その一でした。 ばっちり目が合っちゃいました。勿論、ダッシュで逃げました。 足の限界を超えた120%の力を出しきりましたとも。 追い付かれるのに1分とかからなかったけどな。
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