プロローグ

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喧嘩を売られた国は悪~い人のせいで国の半分が崩壊。 その国は当然怒り、忽然と消えた悪~い人に怒りをこめて大変な懸賞金をかけて世界中を探しまわったそうだ。 しかし、何十年経とうと悪~い人はみつかんなかった。 これでめでたしなら良かったんだがお話はまだ続く。 そこで怒りの矛先が行方不明のその悪~い人から、小さな町でせっせと働いている無実な悪~い人の親族に移るのはそう難しくないもんだ。 国に意味もわからず、捕まった無実なその悪~い人の親族達は悪~い人の居場所を吐かせるために拷問され、知らなければ同じようなことを起こさせないために殺されたそうだ。 それでも結局悪~い人の居場所は掴めず、時だけが過ぎていったのだとさ。 ――― 何でこんな無駄話をしたかといえば、そんなのこの悪~い人が俺の先祖だからに決まってんだろ。誠に迷惑でしかない。 しかも両親は物心つく前に殺されたから、生き残りは俺だけらしい。 嫌なもんだぞ。 町に出て少し見渡せば、俺そっくりの黒目黒髪の御先祖様の顔と名前が描いてあるチラシがそこらに貼ってある。 だから、住むとこは誰もいない野山の木造一軒家で一人暮らし。町に出るときは顔を隠しながらコソコソしなきゃならない。 もう肩身が狭いのなんのって。 容姿が先祖に無駄に似てるから、見ればすぐに血縁者だとバレちまうしな。 昔は親代わりしてくれた優しいおばあちゃんが毎日来てくれたけど、俺が17になる頃、病気で死んで今では一人だ。
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