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こんなことになったのも、全てはあの悪~い先祖のせいで俺は悪くない。
だが、世間とはしつこいもので、また喧嘩をさせないという建前を元に、今でも悪~い先祖の血縁者を探してるんだよ。
血縁者であり、祖先と極めて近い容姿をした俺【ケイ・ヴィーノ】は、必然的に追われるわけで、あの優しいおばあちゃんに会うまではそんな先祖をこの上なく恨んでいた。
おばあちゃんは家族全員、事故で死んでいる。そのせいで家族のいない俺に何かしらの情が移ったのか、俺を実の子のように育ててくれ、更に匿ってくれた恩人である。
おばあちゃんは色々教えてくれた。
日常に必要な文字や常識、それと魔法なんてものも教えてくれて、今の俺があるのはこのおばあちゃんのおかげと言っても過言ではない。
そんなおばあちゃんが死んで数年たったある日、ついに俺の一軒家にも国に派遣された追っ手がきたんだ。
町では何度か追われたことがあったが、家にまで押し掛けられたのは初めてだった。
いつかは追っ手がくると予想してたから、予め逃げ道を作っておいたんだが、なんとその逃げ道の先にも追っ手が待ち伏せていやがいますの。
もう困った困った。
魔法もことごとく防がれるし、優秀すぎる追っ手を前に切札も出すことすら叶わない。
手も足も出ず逃走を諦めるのに時間はかからなかったよ。
ま、捕まらなかったけどね。
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