プロローグ

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【ピールヒル・エリオット・ロイ】 如何にも何処かの偉い貴族にありそうなカッコイイ名前。だが残念。 正体は小汚いオッサンである。 この小汚いオッサンに助けられたカッコ悪い俺は、今ピエロのオッサンの住居であるとされる立派なボロ小屋でオッサンと向き合っている。 「ケグロイ君が助かったのは僕のお陰じゃあないんだよねぇ。転移の座標指定がたまたま君の位置だっただけ。ジュエリーが君を助けただけ。 僕が助けたわけじゃぁないんだ、ケグロイ君。良かったね」 「良くねぇよ。転移座標が少しでもずれてたら身体真っ二つだぞ。危うく何の因縁もないオッサンに殺されかけたんだぞ。さっきのお前への謝礼の言葉を俺の下に帰せ」 「ケグロイ君、言葉は帰せないよ。返せはするけど」 転移は転移させる座標の身体の一部を転移座標とした場合、転移した瞬間その身体の一部だけ転移されて残った身体はそのままだ。 最強のゴーストジュエリーの一つが『スカイジュエリー』なのである。 「何処まで人事なんだよ。人の命はお前が考えてるほど軽くねぇからな」 「ほっほー、今日も元気いっぱいだねぇ、ケグロイ君。飴ちゃんでも食べるかい?」 「今日は朝から晩まで陰気でいっぱいだ。特に今…」 どうもこのオッサンのペースに乗せられている。このままでは埒があかない。さっさとこんなボロ小屋から出ていくか。
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