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俺の身請け人の名前は、水野という。
俺はその名前に聞き覚えがあった。何度か俺を抱いているからだ。俺はその人が苦手だった。お前は物だとでも言わんばかりに、俺たち陰間扱いが酷かった。
「私もあんたを身請けに出したくないのは山々だけど、仕方ない事」
と女将は俺に言い聞かせた。
最悪の結果以外考えた事の無い俺は、そんな事は想定していた。それに、京介様がもう俺を抱く事は無い。所詮は遊びの対象だったのだ。そう思っているのに、なぜこんなに胸が痛いのだろう。その答えがわからない。
「京介様…」
俺が呟いた言葉は、他人には聞こえない程、小さくてはかなかった。
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