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母親は俺を陰間茶屋に売ったのだ。母親は俺が邪魔だったのだろう。俺に「絶対に帰って来るんじゃないよ」と言って去っていったから。 初めのうちは、母親がむかえに来るだろうと考えて待っていた。しかし、どんなに月日が経っても、俺を訪ねて来る女性は居なかった。 綺麗に着飾り、好きでもない男に抱かれる毎日。いつか自由になれる日がくる。ずっとそう思って頑張ってきたが、三年過ぎた頃から、そんな考えは消えていた。 俺の身体は、誰のものでもないただの道具。初めてお客をとった時に改めて実感した現実はあまりにも残酷で、もう自分がどうなってもいいと思った。 そんなある日、俺はあいつと出会った。
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