始まりは。

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「未、来・・・?」 「はい。」 自分でも信じたくない、信じれないことだった。 けれどこれしか考えつかない。こう言うしかなかったのだ。 原田さんは大きな口をあけて固まってしまい、近藤さんは目を丸くして驚いている。 (土方さんは___) そう思っておそるおそる見ると、腕組みをしてやっぱり鋭い目つきで見てる・・・というよりも睨んでいた。 「・・・はぁ。あんた、もっとましな嘘はつけないのか?」 土方さんは急に呆れた顔をして深くため息をついた。 「うっ、嘘じゃ、ないです!」 「じゃあ、何か証明できる物とかでもあるのか?」 「そ、それは・・・」 「時間の無駄だったみたいだな。」 たしかに土方さんのいうとおりだった。 なにか証明できるわけでもないのにそんなことを言って、はい、そうですか。と信じてもらえることのほうが少ないだろう。 土方さんが呆れながら立ち上がろうとした時、私は急にあの資料室で見たことを思い出した。 自分でも驚くくらい、鮮明に・・・。 「・・・池田屋、事件。」 「えっ?」 土方さんは立ち上がるのをやめ、再び座った。 原田さんと近藤さんは真剣な目つきに変わり、じっと私を見つめていた。 「いっ、今、古高俊太郎という人物を探していませんか?」 「何であんたが知って・・・。」 「その人を見つけたあと、池田屋事件、というのが起こるんです!」 「池田屋、事件・・・?」 「その事件で新選組が活躍して、朝廷、幕府、会津藩から感状などが貰えて、知名度も一気にあがるんです!」 「・・・・・。」 震える手をもう片方の手で抑えながらも、自分の思いつく限りの記憶と言葉で必死に、大きな声で伝えた。 「そっ、そのあとも新選組は___」 「もうそれ以上はいい!!」 資料室で見たことを伝えようと一気に話し続けてしまっていたのを、土方さんが大きな声で制した。 私は自分の体がびくりとするのを感じながら口を紡いだ。 土方さんは黙って目をとじ、しばらくの間沈黙の時がながれた。 「・・・あんたが未来から来たなんてまだ信じることはできないが、少なからず新選組の内部状況を知ってるみたいだな。」 土方さんは静かにそう言うと、原田さんの方を向いた。
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