153人が本棚に入れています
本棚に追加
気がつくと部屋の中は夕焼けのオレンジ色に染まっていた。
その時カタッ という音とともにふすまが開き、原田さんでも藤堂さんでも沖田さんでもない、別の隊士が立っていた。
「ついて来い。」
その人はただ一言そう言って、背を向けて歩いていく。
私は言われたとおりその人の後ろをついて行った。
「・・・・・。」
(この人、全然しゃべらない。)
そう思ってふと下を見ると、その人は右に刀をさしていた。
「“斎藤一”、さん?」
「ん?」
その人は急に立ち止り、私の方を向いた。
「何故、俺の名前を知っている?」
小声で言ったつもりがばっちり聞こえていたらしい。
鋭い目つきで見られ、私はまた無意識に自分の手を握りしめた。
「そっそれは・・・」
「未来から来たから。とでも言うのか?」
「えっ?」
「まぁ、よい。副長達が待っている。来い。」
(副長って、土方さんだよね?“副長達”が待ってる。ってどういうこと?)
そんな疑問を抱きながらも斎藤さんの背中を追いかけた。
「失礼します。」
斎藤さんはそう言ってふすまを静かに開ける。
私は握っていた拳をより強く握り、中に入った。
最初のコメントを投稿しよう!