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「おっ!桜木くんもやっと笑ってくれたな。」
「えっ?」
近藤さんは満面の笑みで私の方を向いた。
「笑う門には福来る、と言うからな。」
「笑う門には、福来る、ですか?」
「あぁ。そして他の人を知る一番の方法は紹介する、つまり、自分をさらけだすことだ。」
「自分を、さらけだす・・・」
「自分をさらけだすことによって、相手に安心感を与える。そうすると、相手も自分をさらけだしてくれるものだ。そして、自分も安心感を得て自然と笑顔になる。互いを知るということは、笑顔に繋がることだと思うんだよ。」
近藤さんは少し照れながらもそう言ってくれた。
私の心には、そんな近藤さんの言葉が響いた。
(自分をさらけだして、互いを知る、か・・・。考えたこともなかった)
「さあ、今度は桜木くんの番だ。」
「えっ?」
「なんでもいい。名前だけでもいいんだ。」
近藤さんはにこやかにそう言った。
私は少し戸惑いながらも立ちあがり、
「・・・桜木、柚葉・・です。宜しくお願いします・・・。」
とだけ言った。
「・・・・・それだけか?」
少しの沈黙のあと、永倉さんが目を丸くしながら尋ねてきた。
「えっ?えっと・・・」
「ほら、もっとあるだろ!例えば・・・なんだ?ほら、言ってみろ、平助!」
「ちょっ、新八さん!俺に振らないでくれよ。なぁ、斎藤さん。」
「いや、俺に振られても・・・そうだな・・・」
斎藤さんはそう言いながらも少し考えて、私の方を見た。
「着替えた方がいいのではないか?」
「えっ・・・?」
斎藤さんは質問ではなく、提案をしてきた。
それも、話の流れを全く無視したことだ。
「男装に、だ。ここで暮らすならそのままだと他の隊士にばれたときにややこしいだろう。一応、女禁制だからな。」
「あっ、はい。」
私はなるほど。と思いながらも、斎藤さんは不思議な人だなと思った。
「たしかに、斎藤の言うとおりだな。」
斎藤さんの言葉を受けて土方さんも同意する。
「あんたは、平助から着物を借りろ。」
「えっ?!」
私よりも早く驚いたのは藤堂さんだった。
「なっ、何で俺なんですか!」
「そりゃあ、平助が一番サイズ的に・・・ってことだろうよ。」
と永倉さんが半分笑いながら言った。
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