プロローグ

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____私は人見知りなわけではない。 『人間不信』なのだ。 そのうえ人より感情を表に出さないためか、友達は小学校から中学校まで片手で数えることができる程しかいなく、高校では友達なんて一人もいない。 昔から一人でいることには慣れている。 苦であるなんて考えたことはない。 ・・・だけど、本当は心のどこかで私を受け入れてほしいと思っている自分がいた。 どこかで、年相応に楽しそうに笑って話しているクラスメイトを見て、どこかうらやましく思っている自分がいた。 私はそんな自分が大嫌いだった。 そんなことを考えていると、いつのまにか見知らぬ道を歩いていた。 (ここ、どこだろう・・・) そう思っているのに、何故か私はまるで何かに吸い込まれているかのように、歩くことを止められなかった。 奥へ奥へ進んで行くにつれて、人影がなくなっていく。 その代わりどこかにたくさん植えてあるのか、私の目の前を桜の花びらが舞い散っている。 そして目の前の角を曲った時、両脇に古い建物が現れた。 ______今思い返してみると、この瞬間から私の人生は大きく変わったのかもしれない。
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