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「えっ・・・?」
小屋を出ると、そこは別世界だった。
まるで時代劇に出てくるような格好の人たちが歩いていて、現代では見たこともないような古い小さな家が軒を連ねている。
その家々の前では野菜やかんざしなどが売られていた。
そう、一言で言ってしまえば“江戸時代”のような雰囲気だ。
私は急いで振り返った。
けれどそこにあるはずの小屋は跡かたもなく、ただ路地裏に通じる暗い道があるだけだった。
「・・・どういう事?」
私は意味がわからないまま歩きだそうとした時、もう一つの異変に気がついた。
それは私が歩く度に足元からカラン カラン と音がするのだ。
「あっ!」
辺りの景色が急に変ってしまったことに気を取られていて、自分の服装が変わっていたことに気がつかなかったのだ。
私は薄い桜色の生地にうっすらと椿の柄が染められている着物に、黄色の帯をしていた。
「何で?」
(さっきまでは制服だったのに、周りの景色も全然違う・・・江戸時代みたいな__)
自分でそう思った時、私はもしかしてと思い近くで野菜を売っているおじさんに話しかけた。
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