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「ハルは俺と離れたくないの?」
ハルの頭を撫でながら聞いた。
「サンタさんはぁ、ハルの事大好きだって言ったぁうっ、のにっもうどっか行っちゃっ、おかあさんはハルをもう探してっひっくれないっしぃっ」
「ハルも俺と離れるの、寂しい?」
「ハルぅっハルもっ寂しいぃ」
「そっかぁ……」
ハルを抱きしめて、背中をぽんぽん叩く。
ハルが俺の服をぎゅっと握った。
「俺も寂しいよ。
出来ればハルと一緒にいたいよ。
……でも、出来ないんだ」
ハルが、涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔で俺を見上げた。
「どっどしてぇ?」
ハルの目からぼろぼろと涙が溢れ出す。
胸の奥がぎゅっとなって、息をするのが苦しくなった。
さっきの笑顔はどこにいったんだろう。
ハルのほっぺが涙で冷えてますます赤くなったのを見て、両手で包み込んだ。
「俺はね、だぁれもいないところにトナカイ達と住んでるんだ。
そこは長い間誰もいなかったから、俺以外誰も住めなくなっちゃったんだ」
「サンタしゃんも、うっ一人ぃ?」
「うん、俺も一人。
トナカイ達がいるから大丈夫なんだけどね」
「そこにハルも一緒に住んだらどうなるの?」
「とにかくぐるぐると、すっごく寒くなったりすっごく暑くなったりするから、寒すぎて凍っちゃったり暑すぎて焼けちゃったりするんだ」
「サンタさんとトナカイさんは何で平気なの?」
「トナカイ達は特別なトナカイだから、寒かったり暑かったりしても何てことないんだ。
俺のこの服もね、特別な服だから平気なんだよ」
そう言って俺の着ている赤い服をつまんでみせると、ハルが不思議そうにそれを眺めた。
ハルの涙はいつの間にか止まっていた。
ほっとして、ハルの頭をゆるりと撫でる。
ハルの一挙一動に反応する自分が新鮮で、少しむずむずする。
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