クリスマス短編

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-Tu-Ki- 今年もクリスマスがやってきたよ。 ソリの上の大小の影は、いつの間にか大中になった。 サンタとハルちゃんが僕に、ハルをサンタクロースにしてよってお願いに来るのももうすぐかな。 二人はこんなに離れてても分かる位に輝いていて、幸せそうだ。 あぁ、嬉しいなぁ。 友達があんなに幸せそうなのって、こんなに堪らなく嬉しいものなんだなぁ。 2012年のクリスマスの晩、サンタは僕に月が綺麗ですねって言った。 知ってるよ、それ。 よかったね、ちゃんと伝わってさ。 それから毎年、サンタはハルちゃんと一緒に顔を見せに来てくれるんだ。 さよならの挨拶はいつも、月が綺麗ですね。 分かったって、もういいって照れるから。 そう伝えようと思って輝きを強めたのをどう思ったのか、ハルちゃんまでそう挨拶をするようになってしまったんだよ。 照れちゃうよ全く。 そうそう、後さ。 2012年のクリスマスに、サンタったらハルちゃんにも月が綺麗ですねって言ったんだ。 ふふっハルちゃんが分かるわけないのに。 で、ハルちゃんにどういう意味? って聞かれてさ、Ilove youって意味なんだよ、なんてキザっぽく言ってみてさ。 ハルちゃんさっぱりな感じだったよね。 まだ8歳のハルちゃんにいきなりそんな事言っても、同じ感情が返ってくる訳無いのにね。 あははっサンタったら馬鹿だよね。 ……でも、今ならもう届いてるかな? 多分届いてるよね、だってあの時とは二人の雰囲気が全然違うもん……あはっそんなにムスッとしないでよ。 いいじゃん、見て分かるように娘さんは幸せだよ。 後は……あぁ、そうそう。 ハルちゃんってさ、お母さんが本当に大好きだよね。 サンタに着いていったからてっきり、お母さんの事はさっぱり忘れるんだと思ってたけど。 毎年毎年、クリスマスの晩にはお母さんにプレゼントを持っていってるよ。 ハルちゃんのお母さんも君がいなくなったショックから立ち直って、毎年クリスマスを楽しみにしてる。 サンタは、ハルちゃんがお母さんの所に帰るんじゃないかって暫くハラハラしてたみたいだけど。 ハルちゃん帰らないで、ずっとサンタと一緒にいるよ。 あはっサンタの事も大好きなんだね。 ……って言ったら、君はまたふて腐れるんだから。 父親ってのは、いつか他の男に娘を取られようになってるんだよ。 だからそうサンタを睨まない。
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