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-SanTa-
──やれやれだ。
ソリをひくトナカイの尻を眺めながら、息を吐き出す。
やっとプレゼント配りが一段落ついた。
残るは、後一軒。
最後の一軒の屋根に飛び降り、煙突から中に忍び込む。
この国は煙突がある家ばかりだから大変助かる。
窓や玄関や裏口から忍び込むのはどうも好きになれない。
子供部屋の扉をそっと開けて、ベッドの横にぶら下がる大きな靴下にプレゼントを詰め込んだ。
虫とり網を握りしめて小さく寝息を立てる男の子を見て、思わず頬を緩める。
頭をくしゃっと撫でてメリークリスマスと囁くと、男の子が寝返りをうった。
部屋から出て扉をそっと閉める。
リビングのテーブルには、ジンジャークッキーやチョコレートが盛りつけられた菓子入れが置かれていた。
横に置いてある紙には可愛らしい文字で、サンタさんへと書かれている。
その隣に白いひげをたっぷりと蓄えたおじいさんのイラストが添えられていた。
何となく申し訳ない気持ちになってしまう。
──ごめんな、おじいさんではあるけれど、こんな見た目じゃない。
白い短髪をくしゃっと掻き混ぜながら、小さく息をついた。
──長い間生きていても、白いひげは蓄えられないな。
シワも出来ないし、赤ら顔にもならない。
紙を丁寧に折りたたんで、チョコレートと一緒にポケットに入れる。
ジンジャークッキーを口にくわえて煙突をよじ登った。
小さく口笛を吹くとトナカイが迎えにきてくれる。
極力屋根に衝撃を与えないように飛び上がり、ソリにおさまった。
「お疲れ様、サンタクロース」
ふーっと息を吐くと、8番目のトナカイが話しかけてきた。
「あぁ、疲れたよ」
「プレゼントはあと一つで終わりですね」
プレゼントを配るのがやっと終わった
そう言おうとしたけれど、2番目のトナカイに遮られてしまった。
あと一つ?
眉をひそめる。
さっきのプレゼントが最後じゃなかったか?
「どこにあるんだ?」
「サンタクロースのお尻の下じゃない?」
5番目のトナカイの言葉にぎょっとして立ち上がると、成る程確かにプレゼントがある。
幸い柔らかいものだったらしく中身が壊れた様子はなかった。
ほっと息を吐く。
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