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手の届く距離でなければ気付かなかったかもしれない。
アーセナルを微かに包む、鼻腔を刺激する匂い。
…いつしか嗅ぎ慣れた血の匂いだ。
「ちょっ…、お前どっか怪我しとるんか!?」
「え…いや、俺やない…」
「じゃあ誰のや!? 誰とやりおうたん!?」
今にも掴みかからんばかりのマックの勢いに驚いて身を引いてみたものの、座り込んだままでは逃げ場もなく、アーセナルは仕方ないと観念したようだ。
「ちょお待てて。騒ぐやな、マック。こっちや…」
膝の上に抱え込んでいた包みをそっと開いてみせる。
見覚えのあるアーセナルの生成り地のパーカーを赤黒く染めて包まれた『それ』に、マックは僅かに眉を顰める。
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