ブラック・アウト 1

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「…ネコ?」 何度か見かけたことがある。 ここらを縄張りにしている野良の三毛猫だ。 ガムが大事に可愛がって、一番懐いていた。 けれど。 しなやかだったその身体は、アーセナルの腕の中で力なく抱かれたまま。 口元から僅かに覗いたままの薄紅色の舌が、もうここに命のないことを告げていた。 「…死んだんか。」 「車にでもやられたらしい。 見つけたときはまだ息があったんやけど… アカンかったわ。」 なんでオマエがそんな辛そうなん…。 マックは喉元まで上がった問いかけを飲み込んだ。 ---つづく
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