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ぶっぎらぼうに投げ捨てて、とにかく屋内へ引き入れようとするマックが掴んだ手は、氷のように冷え切ってしまっているのに、アーセナルは立ち上がろうとはしない。
「あかん。」
「は?なんでや。」
アーセナルの頑なさはいつものことだが、ときどきこんな風に手に負えない。
自分を粗末に扱うような、そんな姿にマックの苛立ちは募るばかりだった。
だったら無理矢理にでもと力を入れた腕は、アーセナルの言葉に動きを止めた。
「あかんて。
…コイツのこんな姿、ガムに見せられへん。
コイツかて見られとうないやろし…。」
お互い知らないままなら。
いつかまた、なんて他愛ない希望ひとつ残ったままなら---
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