ブラック・アウト 2

4/10
前へ
/298ページ
次へ
…阿呆やなぁ、アーセナル。 ガムはそんなこと最初から百も承知やで。 『こいつらなぁ、ニンゲンの十分の一ぐらいの時間しかいてくれへん。 俺との関わりなんて、その短い時間のそのまたほんのちょっとのもんだけや。 やから、一緒にいるその瞬間に欲しいもん欲しいだけあげたいんや。 それで満たされれば、こいつらには幸せな記憶だけが残るやろ? なぁ、知っとる? こいつらに「また今度」なんて通じひんのやて。 次て期待する時間考えてる間に過ぎていってまう。 欲しいそのとき間に合わな意味ないんや。 零か全部か、どっちかなんや。』 ガムのヤツ、エイトルール破って俺に叱られる度にそう言いおる。 優しくて、哀しくて、やからこそ強くて、逞しくて。 いつだってどんなときだって、真っ直ぐ前を見据えるあの横顔、アーセナルかて知ってるやろ…?
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加