218人が本棚に入れています
本棚に追加
アーセナルの前、同じようにしゃがみこんだ姿勢のまま、マックはわざと乱暴にその頭を小突いてやった。
「大丈夫やて。ガムのヤツ、一回寝たら朝まで起きひんやろ。」
頑なに俯いた横顔を動かすにはもう一歩。
自分のことを決めるとき、迷いをみせないアーセナルの強さは、隣にいる人間を安心させる。
そんな彼が立ち尽くす時とは、必ず仲間の誰かのためだから。
「朝まで此処におったら、ガムだけやのうて皆にもバレてまうで?」
わざと口にした意地悪い台詞に、アーセナルの肩が揺れる。
「それにガムは寝んのも早いけど、起きんのも早いしなぁ。」
「!そやかて…、コイツのこと、このままじゃ…」
跳ね上がった顔は歪んで、今にも泣き出しそうで。
戸惑いを浮かべたままの瞳に、視線を定めたまま、先に立ち上がった。
「行くで。」
「…?」
改めて差し出した左手。ゆっくりと握り返されるのを待って導いた。
今、俺らに出来ること。
「そいつ、埋めたらな。
見送ってやるんやろ?」
最初のコメントを投稿しよう!