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「…俺かて『ジョニー』やのに。」
苦々しく吐き捨てる本音は一瞬。
聞き返す猶予は与えず、寄りかかった窓枠からふらりと離れて、ゆっくりと近づいてくる。
傾いて差し込む月光に照らし出されるのは、ホクロのある右側の口角だけ上げるシニカルな笑み。
…コイツの顔でやられると凄みが違う。
思わず見惚れてただなんて、口が裂けても言いとうないけれど。
気づけば10センチの身長差、見下ろされる至近距離に迫られてた。
昼間のジョニーなら絶対に見せないであろう熱を持って潤んだ瞳。
洗い立ての軽く波打った柔らかい栗色の髪と、挑発するくすくす笑いで洩れる吐息が首筋を掠める。
自分と同じシャンプーの香り、香水を纏わないジョニー自身の匂いにくらくら目眩がする。
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