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男ふたり、真夜中に人気のない空き地に無言で穴を掘るという、通報されても文句は言えない状況だったが、幸い誰にも見咎められることもなく。
なんとなく、その姿を客観的に思い出して、マックは唇だけで微笑を形作った。
指先を染めた土の汚れを、爪を弾きながら気にするアーセナルが気づいて、不審げな視線を送る。
「…?」
「や、共犯やな・て。」
「…勝手に割り込んだくせに。」
そのままふいとそっぽを向くアーセナルの照れ隠しはさらりと流して、マックは白い息を吐いた。
「あー、もう洟垂れるわ!俺まで風邪ひいたらお前責任取れや!?」
「やから!勝手に着いて来たんマックやんけ!」
「はぁ?お前が泣きそうな顔して『あかん~』とか抜かすからやろ!」
「っ!誰がや!頼んでへんわ!」
発展しかけた不毛な怒鳴りあいは、アーセナルの派手な三連発のクシャミが遮った。
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