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「…あーぁ、しょうもな。ほら、もう帰るで、アーセナル?
結局ふたりで風邪っぴきやなんてバレバレやん。」
「…」
靴裏で消した吸殻のやり場に困って振り返ったマックの視界に入ったのは。
さっきまでの勢いを失くして俯いた、アーセナルの姿。
しゃーないなぁ…。
今更かとも思ったが、首に引っ掛けたまま忘れていたマフラーで、アーセナルの頭からふわりと包み込んでやった。
「…泣くなや?」
「誰がじゃ、阿呆。」
事此処に至ってみせる彼の精一杯の強がり。
自然と緩んだ口元で、マックは言葉を紡ぐ。
「泣いたら凍るで?」
「…っだから泣いてへんて…!」
「…意地っ張り。」
クシャミしたついでや・なんて白々しい言い訳に、声を出さずにマックは微笑む。
バレたらきっと、コイツは泣けなくなるから・と。
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