MOON CHILD 3

5/9
前へ
/298ページ
次へ
確かに昨夜、ジョニーの様子はおかしかった。 いつものように日付が変わってから戻ったTHE EIGHT。 その人気のないホールのカウンターで、ひとりぼんやり酒なんか飲んでるから。 こっちも酔った勢いと人恋しさで、普段やったらスルーのとこ、近づいて声かけた。 自分よりもさらに強く酒の匂い纏わせてるくせに、ちっとも酔ってる風に見えんかったジョニー。 『なんや、お前が酒なんて珍しいやん。』 『そ?エースは相変わらずやね。ちっとも変わらん。』 『は?俺かて変わるわ。ずっと一緒の人間なんておれへんやん。』 『…そやね。そうかも。』 微妙に噛み合わない会話。 どこかここではない、遠くを見て淋しそうに微笑むその横顔。 隣にいるのに、そのままふいと消えてしまいそうで、目が離せなくなってた。 だから、ぼそりとつぶやいた一言。 『…?なんや、お前変やぞ?』 その何気ない言葉が、ジョニーの何処に障ったのか、俺にはわからんかった。
/298ページ

最初のコメントを投稿しよう!

218人が本棚に入れています
本棚に追加