218人が本棚に入れています
本棚に追加
なんでここに!?
カウンターの端に、左肘をついて佇む背の高い影。
こんだけヒトがいるのに、吸い寄せられるように動かされた視線の先には、諸悪の根源のジョニー。
今一番、会いたくなかったヤツ。
なんでこんなとこで。
思わず漏れそうになった舌打ちを、慌てて引っ込める。
まさか仕事中…?
咄嗟にTHE EIGHTでの皆とのやり取りを忘れて考える。
…じゃないよな。いつもの黒いスーツやない。
THE EIGHTでもよく見かける生成り色のシャツに濃茶のカーゴパンツの普段着に身を包んで。
着飾った他の客と比べて浮いて見えるのは、そのラフさではなく、均整のとれたスタイルと自然で優雅な物腰からだ。
アイツにはえらく不似合いなシチュエーションに思えた。
とはいっても、自分の関知しないところでのアイツの仕事ってこともあるから。
ましてやアイツのプライベートならば俺がどうこう口出しすることじゃないし・と、自分を納得させる。
長年同じ場所で共に暮らしているからといっても、わからないことは幾らでもある。
本音、過去、思惑、秘密…。
内側に秘めるそれらは、時に本人にも気づかずに成長するものだから。
最初のコメントを投稿しよう!