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「なにぼんやりしてるん?」
落とされた呟きに僅かにこもる苛立ち。
コイツは自分の感情に素直で率直で。まるで子供のような無邪気さで挑んでくる。
「…なぁ、知ってる?
アンタが毎晩こんなに苦労してくれてるってのにアイツときたら知らんふりで俺の後ろ隠れてもうてるんやで?」
「…ジョニーは気づいとるんか?」
俺があえて『ジョニー』の名を呼ぶ真意に気づいて、眉根を寄せて不快を表す表情でさえ整って綺麗で。
コイツとこのまま此処にいてはいけない。
本能が鳴らす警鐘に逆らって、囚われた視線は逸らすことも出来ない。
「その気になればな。
でもあの弱虫に期待してもアカンで。アイツが出来ひんことするために俺がいるようなもんなんや。」
「ジョニーが出来んこと…?」
鸚鵡返しの問いには答えず、アイツは改めて笑って見せた。
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