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「…お前、なんや?」
「んん?どしたん?
あ、キモチよかった?やったらもう一回しとく?」
ついと伸ばされた長い指が、再び俺の顎を掴んで上向けさせる。
されるがままなのは、再び至近距離に迫る蠱惑的な瞳が、俺を捕らえて離さないから。
まるで、全身虫ピンで留められた昆虫標本のようだと醒めた頭の隅で想像が過った。
…これは誰や?
ジョニーの顔をしてるけど、ジョニーじゃない…?
同じ姿でまるで違う雰囲気、同じ顔でまるで違う笑い方。
ざわりと震えの走る背中。
振り絞るようにやっとのことで同じ言葉が零れた。
「…お前、誰や?」
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