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「…傷つくわぁ。仲間の顔、忘れたん?」
「忘れてへんから訊いとるんやんけ。」
近づく顔が止まって、互いの吐息が触れる距離からじいっと瞳の奥を覗き込まれる。
光の乏しいこの空間で対峙する双眸の光彩は、ブラックホールみたいな底無しに混濁の闇色。
なんの感情も思惑も読み取れんかった。
落とした声音で囁かれた返答。
「…ジョニーやで?俺かてジョニーや。」
「違う。」
今度は即座に拒絶した。
真っ直ぐ跳ね返した視線は、どちらからも逸らされることはなく、時間だけが流れる。
まるであの夜のデジャヴみたいに。
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