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東雲夕陽、現在窓際の席で震えております。
膝に握り拳二つ乗っけて、全力で震えております。
春の日差しはほんのり柔らかくて暖かい。
窓の外を見下ろすと、桜色一色でとっても綺麗だ。
…とか、いろいろ考えて気を紛らわせてるけど、無理。
こんなに暖かいのに!!
緊張しすぎて寒くて震えてますから!!
うわーッもう、なんで!?
なんでみんなそんな早く周りと打ち解けられるの!?
入学して…つか、さっき入学式終わったばっかりじゃんか!!
初のクラス発表で、教室の中に入って…それでもう仲良し見つけちゃうの!?
もうやだ、マジやだ、帰りたいぃー!!
……チラチラ視線を浴びてることもちゃんと知ってるんだからな。
どうせ俺は珍しいよ、変な頭してるよ!!
ぎゅうっと握り拳をさらに固く握りしめた。
身体中の筋肉という筋肉がガチガチに硬直していて…仕舞には痛いとまで感じてきた。
…だが、どんなに握りしめてもこの息苦しさは体内からは抜けていかない為、ゆっくりと身体を弛緩させて、俯いた。
キュッと唇を引き締めて、俺は鞄の中からヘッドフォンを取り出して耳に装着した。
外の世界と完全にシャットダウンして、自分の世界に引きこもる。
これが俺にできる唯一の楯だ。
矛なんて持っていない。防戦一方の、不公平でへなちょこな、俺の世界。
こつん、と窓枠に頭を当てて静か
に目を閉じた。
暖かい日差しで少し火照った身体に、窓の隙間から漏れ出る冷たい風はちょっぴり心地よい。
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