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北上さんが示した視線の先には、男性が横たわってた。
既に息絶えていた。
――しかしこの男性、容姿が不可解だ。
人間なのに……半分は。
もう半分は異形――妖怪染みた姿に成り変わっていた。
「…コイツは……また、ですか…」
「あぁ…、コレでもう11件目だ…」
コレが、“ここ最近起きている不可解な事”だ。
この男性は11件目の被害者。
そう……『11人目の行方不明者』とも言えば良いだろう……。
悩みの種とばかりに、北上さんは頭を抱え、そんな悩みを振り払うように左右に振った。
「……で、身元は…?」
そう言うと、横から北上さんと同じ、先輩の一人が教えてくれた。
「野々村 蓬。人里で独り暮らししてる人だ」
「……今回も、か……」
事の始まりは、10日前。
門の近くに倒れてた男性を、その日警備に割り当てられていた自警団員が発見した。
全く以て、このような姿で……。
身元を割ってみると、村の青年だったらしい。
それが8件目まで続いた。
中には一部しか妖怪化に変わってない人もいた。
そして、9件目――今度は身元が此処人里の住人へと変わったのだ。
10件目もそうだ。
家業を営む、ごく普通の女性。
彼女も半分、気味の悪い異形の姿で帰ってきた。
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