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「本物みたいだな……、見た目といい輝きといい……」
「ですが、偽物です。タダの皿に銀箔を貼り付けただけですので、引っ掻いただけですぐに剥がれます」
それはそれは……、触っただけでもすぐさまバレそうだ。
それでも、一時凌ぎとしては充分だ。
「――で、値段は……?」
「時雨さんには御世話になっておりますから、特別に負けましてコレぐらいで」
と言って、指二本立てて示した。
一枚二十…ってとこか。
「よし、買った」
「有難う御座います」
「――二枚な」
「分かっております」
二枚で四十の代金を支払い、質屋を出て丁場に戻る。
再び、薄暗い階段を降りて地下麻雀荘に入った。
コクリコクリと、何度も首を傾けながら、暇なのだからか気持ち良さそうに居眠りしている番頭の御老人の横を通り過ぎて、この注文を押し付けた青年二人が居る台に近付く。
彼らの台は、何一つ打ってはおらず、暇そうに背もたれに凭れ掛かっていた。
そこに一言、声を掛けた。
「オイ、お前ら…」
「ん?おぉ、少し待ちくたびれたよ」
一人の青年が気付くと、もう一人の男も反応して声を発した。
「条件通り、持ってきたか?」
「あぁ……、お前らが欲しがってる物、持ってきたぜ」
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