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懐に仕舞い込んでいた似非銀の皿を取り出し、二人の前に置いた。
「おぉ~!」
「へへっ、ありがとよ」
青年二人はその重みを実感するべく、てに取った。
「「ん……?」」
――すぐさま違和感を感じたのだ。
そして、気が付いた。
「コレ偽物じゃねぇか!!」
「おまっ…!これはどういう事だよ!?」
怒声がこの場に飛んだ。
――案の定の言葉攻め。
だから、困惑したり狼狽や情緒が不安定になったりはせず、至って澄まし顔・冷静な顔で答える。
「『どういう事』?…俺はちゃんと、銀の皿を持ってきたじゃねぇか」
「けど……!!」
「――『偽物を持って来い、だなんて言ってねぇよ』ってか……?言ったか?そんな注意事項。
そもそも『本物』だなんて一言も言ってないよな?」
「「――ぐっ……!!」」
あの時、会話のやり取りの中にあった盲点を突かれ、首を締め上げられたような声を上げて、更には言葉を詰まらせた。
「“銀の皿を持って来る”……、俺は約束を果たしたからな。
お前らも、約束……果たしたもらう。一体誰が、出任せを流したんだ?」
「「…………」」
不服不満、とばかりな表情を浮かべ、暫くの――僅かの間、青年らは黙り込み、他の台からの幾多の音が聴こえるばかり。
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