第1章 怪異な死体

20/72
前へ
/200ページ
次へ
懐に仕舞い込んでいた似非銀の皿を取り出し、二人の前に置いた。 「おぉ~!」 「へへっ、ありがとよ」 青年二人はその重みを実感するべく、てに取った。 「「ん……?」」 ――すぐさま違和感を感じたのだ。 そして、気が付いた。 「コレ偽物じゃねぇか!!」 「おまっ…!これはどういう事だよ!?」 怒声がこの場に飛んだ。 ――案の定の言葉攻め。 だから、困惑したり狼狽や情緒が不安定になったりはせず、至って澄まし顔・冷静な顔で答える。 「『どういう事』?…俺はちゃんと、銀の皿を持ってきたじゃねぇか」 「けど……!!」 「――『偽物を持って来い、だなんて言ってねぇよ』ってか……?言ったか?そんな注意事項。 そもそも『本物』だなんて一言も言ってないよな?」 「「――ぐっ……!!」」 あの時、会話のやり取りの中にあった盲点を突かれ、首を締め上げられたような声を上げて、更には言葉を詰まらせた。 「“銀の皿を持って来る”……、俺は約束を果たしたからな。 お前らも、約束……果たしたもらう。一体誰が、出任せを流したんだ?」 「「…………」」 不服不満、とばかりな表情を浮かべ、暫くの――僅かの間、青年らは黙り込み、他の台からの幾多の音が聴こえるばかり。
/200ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加