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忠告に対しても、血が頭に上っているらしく、こう言い返してきた男。
それに、周りには人も大勢居るため、少し厄介かも知れない。
「『イカサマ』……?」
「どういう事だ……?」
中崎が口にした言葉を真に受けて、口々に言う人々。
あの中には仕事上で知り合った人物も居るが為に、『イカサマ師の自警団員』との烙印を押され、人里中に知られるだろう。
ま、“本当の事を知らなければ”――の話だが。
「言いたい事はそれだけか…?」
「あっ…?!」
「言いたい事はそれだけかと聞いているんだ。
あの時はただ、ツキが俺に回って来ただけで、イカサマでも何でも無い。それにこう言えば悪いが、お前は四人の中でも一番弱かった。
――それを棚に上げて人の所為にする行為、恥ずかしくないのか?」
「くっ……!!」
その言葉は図星だった。
的確に突いて、中崎は言葉を詰まらせた。
「何だ、そういう事だったのか?」
首を傾げながら、人集りの一人がそう言うと、小声ながらもやいやいと言い出した。
信憑性が彼よりもあった、と言うことだな……。
――そして、それは中崎が不利な状況と成る。
「うっ、うるせぇ!!お前はイカサマをしたんだ!!」
「……してねぇよ」
「っ…!なら、思い出してやるっ!!」
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