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中崎は地面を蹴り上げ、向かってきた。
コチラに一発食らわそうと、拳を握った右腕を突き出す。
「ちっ……メンドクセェな…」
身体を横に逸らし、顔面向けて突き出された拳を躱わしながらも、空を流れてく相手の腕に自分の左手を添えて敢えて、更に逸らさせる。
そして、滑らすように右腕を彼の上腕へと移動させては、その勢い良いで中崎の鼻先を裏拳で軽く殴った。
「っ!!」
片手で鼻を押さえ、後ろに蹌踉めく中崎に、続けて同じ腕を取り前のめりにさせて、動けないように拘束。
「――ゲェッ…!?」
更に、その少し出ている腹の中にある脂肪を分離させてやる為に、膝で蹴り付ける。
――…一回…二回……。
「っ…!!」
最後の三蹴目を入れようとした時に、彼は無理矢理拘束を引き剥がして離れた。
……折角の御好意だと言うのに……残念。
しかも彼はその際に、お返しとばかりな肘打ちを仕掛けたが、何とか紙一重で躱わせることが出来たので不発に終わってしまった。
「ゲッ……ハァハァ…ゼェゼェ……」
しかし、攻撃は効いており、鼻から今度は腹を押さえて息切れを起こしながら苦悶の表情を見せていた。
だが、ここで手を休めるなんて慈悲がある行為、今はしない――
腹押さえる中崎に近付き、拳を握る所を彼に見せつけた。
「!!」
「オラッ…!」
何されるか感付いた中崎に右ストレートを一発、食らわせたのである。
――……コイツが反省するまでは。
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