第1章 怪異な死体

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「!!…」 頬を殴られ、地面に倒れたこの男。 「ぐっ……!」 「どうした?思い出させるんじゃないのか…?」 うつ伏せの状態から起き上がろうとする中崎に、そう言いながら近付くと、その足音を聞いてか声か、反応した。 体ごとコチラに向けたのである。 「ひっ……!!」 『コイツには勝てない』と言う恐怖を覚えたらしく、情け無い声を発した彼は尻餅を付きながら後退りする。 「す、すみませんでした……」 そして、この一言だ。 「俺が悪う御座いました…」 更には土下座して謝罪の意を述べる。 何に対しての謝罪の言葉なのか、自分には分からない。 ――なので、問い質す。 「何が悪いかったんだ?いきなり殴り掛かった事か?」 「い、いえ……。自分が弱いにも関わらず、それを貴方の所為にしてしまい――尚且つ、有りもしない事を言い触らしてしまい、申し訳御座いませんでした」 土下座している状態で、彼は丁寧な言葉遣いで深々と御辞儀する。 「…………」 間違い無く、反省と後悔はしているようだ。 更に、彼に近付き腕を伸ばす……。 「ひっ……!?」 中崎はもう一回殴られると察し、悲鳴に似た声を出した。 しかし、その腕は彼の横を通り過ぎ、横にあった彼が持ってきた箱に手を入れて銭を手の内に握り、取り出しただけの単純な動作で終わっただけであった。
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